『世界人権デーに寄せて ―精神障害者の人権と社労士の責務』

みなさん、こんにちは。

NPO法人しおん 代表 楠 昇です。

12月10日は「世界人権デー」、そして10月には「世界メンタルヘルスデー」があり、改めて心と人権について考える機会になりました。

『世界メンタルヘルスデーに寄せて——心でつながる希望を』



~障害と向き合う日々から~

私は、障害や難病に悩む方々の支援を続けながら、自身もうつ病と約30年向き合ってきました。

障害とともに生きることは決して特別なことではありませんが、一人ひとりに寄り添う社会をつくるには、まだまだ課題が残っています。



■基本的人権とは

日本国憲法は、すべての人の「基本的人権」が侵すことのできない永久の権利であると明記しています(第11条)。

誰もが幸福を追求し(第13条)、法の下に平等であり(第14条)、生きていく権利を保障されています(第25条)。

障害年金も「国民の正当な権利」として定められ、障害がある方が自分らしく暮らす支えとなっています。

それは単なる制度ではなく、憲法や人権という土台に根ざしたものです。



世界人権デーの意義

1948年に国連で「世界人権宣言」が採択され、すべての人が尊厳と平等をもって生きる権利があることがうたわれました。

国連は1975年から障害者の権利宣言を重ね、2006年には「障害者権利条約」が成立し、精神障害者も他の人々と等しく権利を有することが明記されています。



社労士として大切にしていること

障害年金申請や生活支援に携わる社労士は、障害者差別解消法や合理的配慮などの法律を根拠に、制度の実践だけでなく、一人ひとりの人権を守ることを大事にしています。

相談の現場では、障害や病気に悩む方の思いに寄り添い、社会から孤立したり誤解されることのないよう、配慮と工夫を積み重ねています。

支援者だからこそ、人権と尊厳を最優先にしたい――そんな気持ちで毎日向き合っています。



■変わりゆく社会、目指す未来

心や体に不調があっても、誰もが自分らしく生きられる社会づくりを目指します。

そのためには制度の充実と、社会の意識変革の両方が大切です。

障害が「個人の弱さ」ではなく、「社会が支えるべき多様性」として認められ、誰もが安心して役割を持ち、生きていける環境

それこそが世界人権デーの意味ではないでしょうか。



■最後に

私自身、長年うつ病と向き合ってきた経験からも、偏見や差別が簡単には消えないこと、時に心ない言葉が人の命を奪う重さを実感しています。

それでも、こうした記念日や取り組みを通じて、少しずつ社会が「多様な価値観を認め合う方向」へ変わっていくと信じています。



NPO法人しおん/徳島障害年金サポートセンターは、これからもみなさんの「いのち」と「心」を守る活動に力を尽くしてまいります。

これからも、一人ひとりの人権を大切に、優しく温かい社会をともに築いていきましょう。



NPO法人しおん
代表 楠 昇

『共生の社会の実現へ』
~「支え合い」「寄り添い」「地域」「希望」「ともに歩む」~
2025/10/12