『障害や難病を抱える方の“生きる力”を支える――起業支援とデジタル申請の新しい可能性』

みなさん、こんにちは。

NPO法人しおん 代表の楠 昇です。



1.「支援される側」から「支援する側」へ

私自身、かつては難病やうつ病を経験し、障害年金や福祉サービスに助けられた一人でした。

仕事や家庭を失い、将来への不安や孤独に苦しんだ日々もありましたが、障害年金の受給をきっかけに「もう一度やり直せるかもしれない」という希望を得ることができました。

この経験から、障害年金や福祉サービスは単なる金銭的な支援にとどまらず、“生きる力”を取り戻すための大切な灯りだと実感しています。



2.障害年金サポートの現場から

私たちNPO法人しおん、そして徳島障害年金サポートセンターには、日々多くのご相談が寄せられます。

「申請の手続きが難しい」

「診断書がもらえない」

「家族だけではどうにもならない」



こうした声に寄り添い、ともに解決策を探す中で、「年金が決まって安心できた」「社会と関わる勇気が持てた」といった言葉をいただくたび、支援の意義を改めて感じています。



時には、初診日が遠い過去だったり、記録が見つからなかったり、医療機関が廃業していたりと、困難なケースも少なくありません。

それでも、「どんな壁も、声を上げ、知恵を出し合えば乗り越えられる」と信じて、活動しています。



3.令和7年度 新たな挑戦――「起業支援」へ

今年度、「しおん」は新たな取り組みを始めます。

それは、「障害や難病を抱える方々の起業支援」です。

「障害や病気を理由に一度社会から離れても、誰もが自分らしく再び社会とつながる道を歩める」――その一つの選択肢が「起業」であると考えています。



4.海外における「うつ病経験者の起業家」支援組織とその取り組み

実際、海外では、「うつ病やメンタルヘルスの経験を持つ起業家たちが集い、同じような境遇の方々の起業をサポートする組織」が生まれています。



代表的な例が**「Entrepreneur Mental Health Association(EMHA)」**です。

EMHAは、「うつ病や不安障害などのメンタルヘルス課題を経験した起業家自身が設立した国際的なコミュニティ」で、
「起業家のメンタルウェルビーイングを最優先に考えること」をミッションとしています。



主な取り組みは、以下のとおりです。

・起業家向けのメンタルヘルス情報やセルフケア方法の提供

・オンラインコミュニティやイベントによる仲間同士の支え合い

・起業を目指す方へのネットワークや教育機会の提供

・ピアサポート(経験者同士の支え合い)を重視し、孤立感の軽減や自己肯定感の回復を後押し



また、カナダの「Rise」「Sing for Mental Health Entrepreneur Peer Support Network」なども、「メンタルヘルスや依存症を経験した人の起業を支援し、ピアサポートを通じてレジリエンス(回復力)や社会参加を促進」しています。



こうした海外の先進事例に学びながら、「しおん」も「障害や難病を抱える方の「起業」」という新しい一歩を、全力でサポートしていきます。



5.事務所内で完結できる障害年金申請システムの構築

さらに、「しおん」の代表である私こと楠が営む、「徳島障害年金サポートセンター」では、障害年金の代理申請をより効率的かつ利用しやすくするため、「事務所内で申請手続きが完結できるシステムの構築」を進めています。

これまでは、年金事務所への予約・来所や、保険料納付要件の調査など、「外出が必要な場面が多く」ありました。

しかし、電子申請やオンラインでの情報取得を活用することで、「車椅子の方や外出が難しい方でも社会保険労務士として開業し、事務所から出ることなく、障害年金の申請業務を行える環境」を目指しています。



この取り組みにより、「障害を抱える人が起業できる仕組み=両立支援」の一つの社会モデルとなるよう、今後も体制整備を進めてまいります。



6.未来への約束

「朝がこない夜はない」――この言葉を胸に、「しおん」はこれからも障害や難病で悩む方々の“生きる力”を支え合いながら、社会とのつながりを広げ、誰もが自分らしく活躍できる未来を目指して歩み続けます。



【リンク】
徳島障害年金サポートセンター

『共生の社会の実現へ』
~「支え合い」「寄り添い」「地域」「希望」「ともに歩む」~
2025/7/1