理事長から一言

Greetings
理事長から一言~
事業を始めた動機について

~行政から福祉としてあたえられる社会ではなく、みんなで支え合う世の中(=「共生の社会」)の実現へ~

あらためまして、理事長の楠 昇です。
私はうつ病を患って20年以上となります。
私は、ちょうど今から1年前はまだヘルパーさんの介助を必要としていました。

また難病等も抱えていることから、万が一のために外出の際には杖を持参することが多かったことを思い出します。
ヘルパーさんが来てくれていたとはいえ、約10年以上も単身生活をして本当に大変でした。



が、そのなかで一番困ったのは、世の中には名前だけの支援が多く、相談先がなかなかなかったことでした。
制度はあっても実際には機能していないことも多く、利用しようと頑張るだけ無駄となり、かえって調子を悪くすることさえありました。
一般に行政の年金相談にしても時間が限られており、障害年金のことでは専門とする社会保険労務士事務所を勧められることもありました。
うつ病の特性で、どうしても引きこもりがちになるほど、外出できなくなったり、話がしずらいなどのことが上げられます。



また、病気で働けないために経済的なことでとても悩んでおりました。
そのために、お金のことがとても不安になってしまい、どうしても「事務所へ行くと申請を勧められたときに、なかなか思ったことが言いにくいので、断り切れなかったらどうしよう?お金は高いのではないだろうか?」と思うと、相談する気にもなかなかなれませんでした。
そのためますます悩みを募らせることとなりました。
本当に、行政の側ではわからなかったいろいろなことを経験しました。



そう思いながら、しかし、うつ病以外に難病等の療養中でもある我が身のことが気にかかり、どうしようかと悩みました。
が、コロナウイルスの騒動があってから、私は「自分が最期に後悔する生き方をしたくない」と決心するに至りました。
そうして、労働に制限付きではありますが、社会保険労務士として令和4年9月に事務所を開業し、令和5年1月からは障害年金の申請代行業務を開始、そうしてこの度、『うつ病の障害年金相談室』の活動を整理して、新たに『NPO法人しおん』を設立することとなりました。


その際に、手続きや準備よりも人捜しが大変でした。
なぜなら、私には幼い頃から近しい身寄りがなく、また今回は本当に長い間の病気療養により人との関わりがとても少なくなってしまったことで、NPO法人設立について協力していただける方を探すことが本当に大変でした。
が、それでも耳を傾けてくださった善意のみなさまのご厚意によりまして、今日、こうして形にすることができました。
そのお世話になりましたみなさまに対して、この場をお借りして御礼申し上げます。




現在、毎月定期的に徳島県立障がい者交流プラザにおいて、障害年金の無料相談会を実施しております。
約25年あまり前のことになります。
私は、知的障害児を持つご家族のお世話をしていました。
あるとき、私の子供と同じく知的障害児を持つお母さんがこう言われるのを耳にしました。
「子供をプールに連れて行くと、みんながジロジロ見たり、指をさされたりしてどうしても行きにくい」という声をよく耳にしました。
「身内でもいやな思いをしているお母さん方が、人目を気にすることなく、安心して子供を連れてプールに出入りをできるように」と、小松島市在住の当時、まだ若かりし頃の後藤田氏がじっと耳を傾けてくださり、こうして形となった次第です。
うつ病もとかく「人の目が気になる」病気ですが、ここであればそういう心配は必要ありません。
そのことを理由の一つとして会場を選定いたしました。



しおんの行事には、会場費も資料代も費用は一切かかりません。

このようにして、みなさまにとって少しでも利用がしやすくできればと考えております。
相談会に来られるみなさまも、今後のことなどいろいろなことで本当にご心配がおありになるでしょうが、私はこの事業を活用していただき、少しでもみなさまの経済的な不安を和らげることができればと思います。
いつの日か、この相談に来られた方の中から、私と同じく社労士として活動される方が出てくるかもと、期待しております。
うつ病になったから、離職したからということで、どうか人生を諦めないでいただきたいと思います。


また、企業の関係者のみなさまには、病気の治療をしながら離職することなく、労働時間の短縮等の措置をして障害年金を受けて働き続けることができれば、いかがでしょうか?
長い間、職場で勤務して身に付けてきた職員を手放さずに済むことで、新たな人材の採用やその教育する時間や費用をかける必要がなくなります。

少子高齢化よる労働人口の減少のため、大変な採用難となっている今日、企業の関係者のみなさまにとってもこのことは一つの大きな経営手段になり得ると私は考えています。


こうした事業を実施することで、ひいては政府の懸念する労働人口の減少の問題解決の一手段になり、また明るく元気な世の中へつながっていけば、私は幸いです。

そうして、これからのますます進むこととなる「少子高齢化による社会」を、政府のすすめる『共生の社会の実現』によることで一緒に乗り切って行きましょう。
これからは行政から与えられる福祉制度ではなく、『私たちの未来は私たちの手によってしか切り拓いていくしかない』と決意し、一緒に頑張っていきたいと思います。

令和5年5月 NPO法人しおん
 理事 楠 昇